独立行政法人電気通信総合研究所(電総研)は29日、いわゆる“指出し手袋”に有害な電磁波を反射する効果があるとする論文を発表した。電磁波の健康に及ぼす影響が心配されるなか、身近な物質が防御効果をもつことを発見したのはきわめて画期的。同論文は11月中旬発行の英科学誌「ネイチャー」に掲載される。
電総研によれば指出し手袋は、指先切断面の直径が人体に特に有害とされる極超短波の電磁波と振幅幅がほぼ同じになる。このため、周辺を浮遊する電磁波を効率よく反射し、装着者の健康に悪影響を及ぼすことを防ぐという。また、特に黒革を素材にしたものは反射効率が高く、白ニット製品のおよそ243%の能力をもつとしている。
同研究所が指出し手袋の効果に着目したきっかけは、東京・秋葉原にわずかに残る伝統的な風習。電気店が集中する同地域では、むかしから民族衣装として黒革の指出し手袋が珍重されてきた。所員のひとりがこの風俗の起源を個人的にさぐるうち、今回の効果を発見したという。
電総研の木村雄一所長は「電磁波が飛び交う職場での労働災害を防ぐうえでも、今回の発見は大きな意味がある。厚生労働省が中心となって指出し手袋装着を勧める国民的運動を盛り上げていってほしい」と語る。同研究所では今後、指出し手袋とバンダナを同時着用した際の効能の変化についても研究をすすめていく予定だ。
- 2005
- 10/30 07:28