米Googleが6日発表したオープンな携帯電話プラットフォーム「Android」が注目を集めている。だが、検索の巨人がケータイの規格を一気に掌握し寡占を進めることにつながるのではないか─など危険性を指摘する声もある。そこで対抗馬としてにわかに注目を集めているのが、Androidよりもオープンで、さらに安価に携帯電話事業に参加できるという統一規格
「IT-odenwa」
だ。しかも提唱しているのは日本の、若者が立ち上げたベンチャーだというのだから期待感が高まる。
東京都世田谷区にあるインキュベーション施設。ここに若きビジネスマン、北沢たかしくん(11さい)の活動拠点がある。入所以来5年間、消しゴムかすによるねり消し製造・トレカ販売などさまざまなビジネスを手がけてきた。そんなたかしくんがさらなる飛躍をめざして業界に提案しているのが、携帯電話事業にまったく新たなパラダイムをもちこむIT-odenwaだ。
「IT-odenwaは、いわばWeb 2.0時代の電話。個人が資源をもちあってつなげ、大規模なネットワークを実現しようというものです。一介の個人でも事業に参入できる障壁の低さが最大の魅力ですよ」
利用者はたかしくん経由で必要な機材を購入、手近なIT-odenwaネットワークに接続するだけで電話をかけられる。このとき、利用者の機材自体がネットワークの一部となり、IT-odenwaサービスエリアを拡大する役割をはたす。利用者=事業者というしくみであり、考え方はWi-Fiサービスの「FON」に近い。さらに端末やケーブルが紙や糸など加工しやすい素材でできているため、カスタマイズが容易。これを活用した新市場の創出も考えられるWin-Winなビジネスモデルだという。
たかしくんは「すでに教室内での実証実験は完了した。近々SDKの販売を開始する。IT-odenwaを世界に広げたい」と意気込む。もっかの問題はメインバンクのおかあさん銀行が融資をしぶっていることだけだという。貸し渋りで有望なベンチャーの芽を摘むことのないようお願いしたいものだ。