イザというときにテレビのリモコンが手元になく面倒な思いをしたことがある人は多いのではないか。半導体大手のNECエレクトロニクスらは、乾電池を使わないリモコン試作機の共同開発に成功した。非常に低コストでありながら「焼きそばパン」の購入にも対応する高機能さが特徴で、ものぐさな人には福音となりそうだ。
電池不要リモコンのモニター家庭となった都内在住の主婦・吉田直美さん(38)宅におじゃました。居間に100キロ超の巨体を横たえ、テレビの月九ドラマを見る直美さん。コマーシャルに入りチャンネルを変えようと思ったがリモコンがない。そこで、直美さんが一声
「あんた!」
と叫ぶと、驚くことにチャンネルが変わった。
新型リモコンのしくみは簡単で、音声が起こす振動を恐怖心に変換することで電池不要の動作を実現している。直美さんによれば、
「大声を上げれば、洗濯もメシの用意もしてくれるのよ。ガハハ!」
と笑う。以前は変換効率が悪く二度三度怒鳴らなければならなかったが、最近はすっかり従順になったという。
また、中学生や高校生のモニターからも好評だ。
「“学食の焼きそばパン買ってこいやヒャッハー!”といった難しい命令もきちんと理解する。一生使いたい」
と重宝しているようだ。NECでは、早ければ年度内にも「パシリ」の名称で商品化。月産10万台をめざすという。