国際天文学連合(IAU。会長:ロナルド・エカーズ)は6日、
「土星の輪を消す」
という犯行予告声明文が本部宛に届けられたことを明らかにした。発信人は「冥王星の赤きトラ」を名乗っており、IAUでは
「“元・惑星”である冥王星出身の過激派による悪質なテロ予告」
と見て、犯人らの動向を注意深く見守るとともに各方面へ向けて警戒を強めるよう指示を出した。
公開された声明文によると、冥王星の赤きトラは
「母星である美しい冥王星を惑星の座から引きずり下ろした、憎い太陽系のブルジョアどもに鉄槌を下す」
などと主張。冥王星を惑星に復帰させなければ、
「8月11日に土星の輪に攻撃をしかけて消す。われわれの力を思い知るがよい」
としている。また、11日の攻撃で要求が受け入れられない場合には、さらに9月4日にも再攻撃をおこない土星の輪を完全に消滅させるとの文言もあった。
IAUの話では、冥王星の赤きトラはもともと過激な主張で知られる一派だが最近急速に武力を拡充しつつあり、太陽から50天文単位ほど離れたカウパーベルト※にマスドライバーを設置。太陽系内のどこでも狙い撃つことができる大量破壊能力を獲得した。7月には木星に向かって試射を実施しており、識者のあいだからは危険性を指摘する声があがっていた。今回は地球からも光学観測が可能で効果的なデモンストレーションとなる土星の輪をターゲットとすることで、要求を受け入れさせようというねらいがあるようだ。
IAUのエカーズ会長は、記者会見で
「テロリストの卑劣な要求には屈しない。冥王星はしょせん惑星の資格がない“二級天体”で、冥王星人はくさい粘液をまきちらす低レベルな単細胞生物だという定義は、科学に基づくもの。絶対にゆずらない」
と、断固とした姿勢でのぞむ方針だと述べた。
※カウパーベルト
童貞の我慢汁が蒸発したあと怨念とともに実体化し、太陽系を取り囲むかたちとなった帯状天体