格差の広がりが社会問題になっているが、総務省は生活保護世帯の支援策として地上波デジタルテレビ放送専用チューナーを現物支給することを決定した。都心など一部地域ではすでに発送がはじまった。同省の心のこもったプレゼントを受け取った人々は喜びの声をあげている。
足立区の母子家庭・鈴木幸子さん(39)宅にも、この日、弁当箱大の地デジチューナーが届いた。一人娘で高校生の芳美さん(16)は、弁当を作るお金がなく軽いカバンで毎朝通うのがコンプレックスだったが、
「チューナーをカバンに入れて通えば、お弁当をもっている気分に浸れる」
と喜ぶ。娘のはしゃぎように、幸子さんも思わずうれし涙だ。
北九州市の井戸田晋一郎さん(58)は、先ごろようやく市から生活保護認定を受けたばかり。4畳半・フロなし・トイレ共同のアパート自室には、きょうまでせんべい布団と湯飲みしか家財道具がなかった。
「テレビすらないところにチューナーが手に入ってリッチな気分になれた。私にも運が向いてきたかな」
と喜ぶ。直後に市の担当者が駆け付け「財産ができたんですか。あなたはもう生活保護を卒業できますね!」と祝福するサプライズもあった。
今回のちょっとしたプレゼントにかかる費用はおよそ2000億円とのこと。下層社会で苦しむ人々にこれほどの規模の支援を実現した総務省の英断に、今はただ拍手を送りたい。