昨年4月に開校した「サイバー大学」(吉村作治学長)で、在籍する学生のおよそ3割が実体のない
「電子人格」
のみの存在であることが、同大学の調べでわかった。文部科学省では「建学の理想実現に邁進した結果であり、賞賛に値する」と評価している。
サイバー大学はすべてのサービスをインターネット上で提供する“サイバー時代の大学”をめざし、ソフトバンクらが中心となって昨年4月に開校した。しかし、現在600名を超える在校生について、このところ「本人確認がなされていない。実在しないのではないか」との疑惑が読売新聞によって報道されていた。
21日、疑惑を払拭するために同大学の吉村学長が都内で記者会見を開催。
「これらの学生は記憶と人格をすべて電子化し物理的実体を捨てた“電子人格”。ふだんはサイバー大学の学内サーバに居住しているため、本人確認をするまでもなく明らかに実在している」
と報道に反論した。これまでこうした実状を公開してこなかったのは「学生のプライバシーに配慮したため」という。
発表を受け、文部科学省の担当者は
「建学時の目標である“サイバーな大学”を実現したものと言え、賞賛に値する。規制緩和してヘンな名前のゴミ大学を乱立させたかいがあった」
と諸手を挙げて歓迎している。いっぽう、この日の記者会見中には「学内サーバのハードディスクが故障し、100人程度の電子人格が消失した」と吉村氏に知らせが入るハプニングも。学長が「すでに入学金はもらっているので問題ない」と堂々と対応していたのが印象的だった。