「ダサイ」「かっこわるい」と白眼視されていた方言が、いま女子高生ギャルのあいだで静かなブーム…。各地方の方言愛好家のあいだでは「言語文化の中央集権化に歯止めがかかる」と喜びの声もあがってはいるものの、高校で教鞭をふるう先生たちには「話が通じなくて困る」と思わぬ頭痛のタネになっているという。
「タンキュー、タンキュー」…コックニー方言が教室を飛び交う。ここはロンドンのイーストエンドではない。都内のとある公立高校での休み時間の風景である。「今年のはじめごろから方言が目立ち始めた」と同校の英語教員。「初めて“ワッチュア・ナイム?”(What’s your name?)と聞かれたときにはビックリした。水を飲みに行くときも“マイ・アイ・アブ・エニフィンク・トゥ・ドリンク?”などと日常的にコックニーが使われる。生徒のために苦労して習得したクイーンズイングリッシュがまるきり役に立たない」とこぼす。
彼女たちのあいだではレアな方言ほど珍重される。この夏休み、北部ドイツに留学してきた私立高の女子生徒Aさん(16)。帰国してから日常会話はすべて低地ザクセン語で話しているが、すっかりクラスメイトの人気者だ。「標準ドイツ語のような第二次子音推移がないのがイケてる」と評判だとか。Aさんは「ビスマルクの鉄血政策が気にくわなかったのが習得のきっかけ」と話している。
渋谷センター街ですれ違ったBさん(17)は、ここ半年ほどイタリア・北サルディーニャ方言でしか話していない。「トスカーナ語は古くさい。ダンテの“神曲”とか、なに言ってんの?って感じ。これからは方言の時代」と熱く語る。
先を見越し、恐れおののいているのは全国で書道を担当している教員たちだ。「方言ブームが書道の世界にも入り込んでくるのは時間の問題。生徒が“クレタ線文字B”で課題を提出してきたら点のつけようがない」と、都下で国語を教える三田孝義さん(56)は頭を抱えている。三田さんはとりあえずロンゴロンゴ文字の習得から手をつけはじめているという。
DVD: マイ・フェア・レディ 特別版 / 本: 全国方言スラスラブック / 本: ちかっぱめんこい方言練習帳!―Get your favorite dialects!! / 本: 不思議なロンゴ・ロンゴ /
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