島根県安来市が9月に開催した敬老会で、独演会をしていた落語家の三笑亭夢之助さんが、手話通訳者に
「客が眠れない」
と抗議、退場を求めていたことがわかった。市はすでに夢之助さんに謝罪している。
この敬老会は同市市民会館で9月17日に開かれたもの。落語の際には聴覚障害者に配慮して手話同時通訳がついたが、夢之助さんには事前に知らされていなかった。開始後5分ほど過ぎたところで夢之助さんが
「せっかく私の落語でみなさんが心地よくあくびをはじめているのに、手話の人のせいで眠りにつけない」
と発言。通訳者に降壇をうながしたという。
その後、夢之助さんが
「安眠妨害だ」
「私の落語で眠りたくない人がいますか。大部分が眠りたい人だ」
などと繰り返したため、主催者が指示して通訳を舞台から降ろした。会場からはいびきも聞こえていたという。
夢之助さんは前座時代から「あくびのプロ」の異名でおなじみ。夢之助の名も寄席にきた客があまりのつまらなさに眠りこけ、いい夢見てしまうことに由来している。関係者は
「手話通訳者が会の趣旨をかんちがいし、おもしろく伝えようとしたことも怒りをかったようだ」
と語る。安来市は担当者を夢之助さんのもとに派遣。「差別意識とぬるま湯に浸かり娯楽産業としてはすでに死に体となった落語界の代表として、今後も活躍してほしい」と陳謝している。