2011年の地上デジタル放送(地デジ)全面切り替えを前に、「地デジが見えづらい」いわゆる「地デジ難視聴地域」が重大な問題として地方公共団体の悩みのタネとなっている。こうした地域でいま話題なのが「ブルーベリー」の効能だ。
岩手県釜石市は、山間にあるため難視聴となっている地域。ここでは現在、市役所が各戸を訪問して新鮮なブルーベリージャムを配布している。
「ブルベリーを食べると地デジがよく見えるようになる。たくさん食べてスムースな地デジ移行に協力し、お国にご恩返ししよう」
というのだ。ふだんパン食に慣れないお年寄りたちも、朝からトーストにジャムを山盛りにしてがんばっている。
市の説明によれば、ブルーベリーに含まれる成分「アントシアニン」が眼の網膜に含まれる色素ロドプシンの再合成を促進。視力の向上を促す効果があるという。職員有志で人体実験を行ったところ、山ひとつ越えた隣町で受信中の地デジ放送を肉眼で確認できたとのこと。評判を聞いた他の難視聴地域からは「うちでも試したい」と問い合わせが相次いでいる。
総務省の担当者は、
「本当なら驚くべきことだ。がんばればアンテナも東京タワーだけですむようになるのではないか。地デジ移行の前倒しが可能かもしれない」
と興味を示している。いっぽう「見えるのはいいが音声が聞こえない」との指摘があることから、釜石市ではお年寄りの協力を得て「聞き耳ずきん」の探索に乗り出す方針だ。