文化審議会国語分科会(会長:阿刀田高氏)は10日、混迷をきわめ争いの種になっているIT業界関係者の呼び名・肩書きを、今後
「土方」
で統一するように─との提言をまとめた。今後は出版社や日本語入力ソフトベンダなどの協力を得て、用語統一のための施策を推進していく。
IT業界人については「カッコつけたい」「自分はほかの連中とは違う」「カネ儲けしたい」などの理由から、「マークアップエンジニア」「ライフハッカー」「フィードエヴェンジェリスト」など勝手な肩書きを自称する者が続出。業界内で混乱やくだらない言い争いなどを引き起こす原因となっていた。阿刀田会長は、
「肩書きを統一することで、業界人に
“自分たちはみな社会不適合者。ホームページと言えばYahoo!しか知らない一般人から見たら、ただのキモい集団”
だという事実や、お互いの争いがしょせんカースト間の抗争でしかないことの自覚を促す効果がある」
と、今回の提言の背景を語る。
「土方」の採用は、もともとシステムエンジニアを「IT土方」と呼ぶ習慣が親しまれている現実を踏まえたもの。これにより今後、IT業界の各職種は土方をベースにした新たな名称で呼ばれることになる。現在決定しているものは、
- マークアップエンジニア → マークアップ土方
- Webデザイナー → Webデザイン土方
- CSS nite → CSSニート
- IT戦士 → IT土方
- プログラマー → プロ土方
- ブロガー → ブログ土方
- ライフハッカー → ライフ土方
- W3C原理主義者 → W3C土方
など。MS-IME・ATOKといった日本語入力ソフトは、ベンダーの協力により8月中にもオンラインアップデートで新語体系に対応する。修正後のソフトでは旧称の入力が一切できなくなる。
いっぽう、識者のあいだからは
「“土方”と呼び名を変えても、こんどは土方同士で“自分のほうが上”と差別しあうだけ。いっそ全員から市民権を奪い“奴隷”にしたほうが、ウザくなくなるのではないか」
と実効性をあやぶむ声もある。今後の動向を注意深く見守っていく必要がありそうだ。