超時空大臣のたたかいはまだ続く─並行宇宙の敵対勢力と日夜苦闘を繰り広げている赤城徳彦農水相が、またも異次元からの侵略を未然に防いだ。17日の閣議に出席した同相が明らかにした。今回のたたかいは熾烈を極め、百戦錬磨の猛者である赤城氏も
「敵をみずからの体内に取り込み、特殊ばんそうこうで封印する」
という難しい戦法で、からくも勝利をつかんだという。
農相を苦しめたのは、α時系列の第293宇宙からシュレディンガーゲートを通って侵入してきた「異次元人セシュー」。この世界の人類にゆとり教育をひろめ
「漢字の文字数を数えられなくする」
ことで学力を低下させ、弱体化したところを一挙に支配しようと狙っていた。
「ふはは! ここまでのようだな! 超時空大臣アカギ! 漢字一文字で言うと“王手”でしょうか。きさまの体内に入り込んで操り、わが野望の尖兵としてやる!」
「く…負けて、負けてたまるか…。オレには守らなければならない美しい国、そして領収書のひみつがあるんだ…」
「ハ! ほざけ! きさまの命はここで尽きるのだ! そうれ!! …う!? な、なんだこれは! 体内に入り込んだら身動きがとれない…漢字一文字で言うと“動けない”!」
「ククク…。かかったな、セシュー! 物理攻撃の通じないおまえをオレの中に誘い込み、封印しようという作戦に! くらえ! クロムウェル術式封印ばんそうこう!」
「こんなハズでは…漢字一文字で言うと“グワー!”
(ボカーン)」
赤城農相は勝った。しかし、あれが最後のセシューだとは思えない。われわれが投票に行かない限り、いつまた第二、第三のセシューが…(完)