松岡利勝農水大臣が議員会館では無料のはずの光熱費に計上している2800万円が、国会で物議をかもしている。この巨額の経費が何に使われたのか、同相は頑として明かそうとしない。しかし、その裏にはこんな美談があった…。“松岡番”の本紙記者だけが知る事実が、いま明かされる。
「あの青いシートのテントは、
いったいなんだ?」
昨年の夏。国会に向かう途中たまたま上野公園脇を通った車中で、松岡大臣は同乗した記者に尋ねた。不忍通りに沿ってずらりと並ぶテントは、都心の熱気にあおられてまさに異様を呈していた。大臣は初めて見る光景だった。記者は平伏しながら「おそれながら、ホームレスどもの住居でございます」と答えた。
「ほおむれす? なんだそれは?」
記者はしかたなく大臣に語った。ホームレスとは貧しい人々のことだということ、サヨクの陰謀で企業業績が上がらないために辛酸をなめさせられていること、その日飲む水にも事欠く生活であること…。
すべてを知った農水相は、ショックからかしばらく黙っていた。幼いころから政界で育った彼は、人間はみな料亭で食事をし、永遠に生を謳歌し続けるものだと思い込んでいた。しかし、世の中には女王様の聖水どころか水も飲めない者がいるのだ。
議員会館に戻った彼は考え込んでいたが、やがて秘書に命じて大量のバケツを用意させた。そして、会館で水を汲ませるとトラックをチャーターして上野に運ばせた。公園の人々に分け与えるためである。おりしも熱帯夜続きで、ホームレスたちは感涙にむせび泣いた。
その後、松岡大臣の水の施しは人知れずずっと続けられている。議員会館の水は無料だが、バケツやトラック代はばかにならない。その経費は3000万近くにも達している。それでも大臣は、不平ひとつ言わず公金をなげうってまで施しを続ける。詳細を語らないのは、右手のなす善行を左手に知られぬようにとの彼のポリシーゆえだろう。しかし、記者は知っている。松岡利勝という国士がいることを…。