<“北”監視ネットワーク代表・田中義剛氏>
世界に衝撃を与えた愚行から、はや一ヶ月。人間の記憶はともすれば時とともに薄れがちなものである。しかし、「のどもと過ぎれば熱さ忘れる」という警句を忘れてはならない。紅葉も盛りを過ぎ、冬の訪れを控えたこの時期こそ、あの“北”の地が勢いを増すときなのだ。厳しい態度で臨むべく、心をひきしめるのが国際社会の責務と言えよう。
平和ボケした知識人からは、
「しょせん経済力もない地域。
暴走したとしてもタカがしれている」
などとあなどる声がよく聞かれる。たしかに、かの地の庶民は極端な不景気にあえぎ、失業に苦しみ、屯田兵ばりの生活苦に耐え忍んでいる。だが
「放置しておけば自滅していく」
などとみるのは楽観的すぎる。全体としての経済力・武力は依然として脅威となるレベルを維持している。現実を直視すべきだ。
たとえば“北”の特産物。日本人の目をくらませるカニをはじめ、羊肉、ビール、チョコ…。向こうで生産されたさまざまなぜいたく品が、いまだヤミ取引により海を越え内地に輸入されてきている。これが向こうには貴重な外貨収入源となっているのだ。
また、マスコミ関係者や一部富裕層が、さまざまなルートを介して“北”に潜入。旅行気分で外貨を落としているとの報告もある。特に、これからの季節は女と連れ添ったイケメン大学生がスキー板を肩に滞在するケースが多いという。一童貞としてうらやましすぎる。国としても何らかの取り締まり策を考えるべきだと提言したい。
こうして稼いだ外貨が、彼らの武力増強の原資となっているのは明らかだ。“北”の首都では毎冬その強大な軍隊を総動員し、軍事力を見せつけるための「祭り」が開かれる。民衆が腹を空かせているかたわら、数え切れないほどの彫像が首都に林立するというのだ。これまでにたくわえた力で今年はどんなに盛大なイベントとなるか…考えただけで背筋が凍る思いがする。とりわけこの一ヶ月で、かの国の軍隊は「核武装論」「省への昇格」など強大化の一途をたどっているのだから。
国民ひとりひとりが身の回りを再点検し、国の安全をおびやかす“北”に資する行為をせぬよう注意を怠ってはならない。