北朝鮮の金正日総書記が急逝したニュースは衝撃をもって世界各地に伝えられ、とりわけ強力な権力をもつ後継者が誰になるかに注目が集まっている。下馬評では三男の金正恩氏が有力と目されていたが、ここにきてその名が急浮上してきたのが四男の金太氏だ。
金太氏は、正日氏の末っ子だけあって比較的甘やかされて育ち、ケンカをしてもすぐに負けてしまうために
「金太負けが多い」
と冷やかされるばかり。カリスマ性に欠けるとの見方が大勢を占めていた。
しかし、孤立化するいっぽうの北朝鮮幹部にとって好都合だったのが、金太氏の血の気の多い性格だ。ナイフを日ごろから持ち歩いては果物などさまざまなものをスカッと切り刻む勇猛ぶりは
「金太マスカットナイフで切る」
と恐れられており、総書記に就任となれば強硬外交路線継続は間違いない。これが北朝鮮保守派のメガネにかなったようだ。
これに対して、苦しい立場に追い込まれそうなのが日本だ。わが国では、なぜか金太氏について報道することは暗黙のうちにタブーとされてきた経緯があり、金太氏はこれを苦々しく思うあまり日本に対し強硬な政治姿勢をとることで知られている。一国の元首ともなれば日本のメディアもさすがに無視はできず、
「ねえ、金太まだあ?
金太まだあ?」
という金太氏の要求に屈せざるを得まい。今後の対北朝鮮外交の先行きに暗雲が垂れ込めてきたようだ。