大震災の影響で電力供給への不安がささやかれ節電が叫ばれるなか、NEC(本社:東京)は10日、電力消費量同社比100パーセント減を達成した新型PCシリーズ
「ナイコン」
を発表した。家庭や企業での同製品採用が進めば、各地の原発が停止に追い込まれている現状でも真夏の電力需要を大幅に削減することが期待できるだけに、各方面から注目が集まっている。
「ナイコン」は、同社の社内ベンチャーに属する40代の男性社員が、少年時代の経験にインスパイヤされて開発した新型PC。
「目に見えない」
というユニークな外観が特徴で、同社員のかつての境遇を再現した。操作は基本的に脳内でおこない、「10 PRINT ゛アイウエオ゛: GOTO 10」といった高度な処理の結果を自由にシミュレーション可能。初心者向けユーザーインターフェイスとして、便利なコーディングシートやフローチャートステンシルもオプション提供される。これらの高機能を備えながらも電気を一切使わないというのがナイコンの最大の長所だ。電力消費量は同社従来PC比で100パーセントになるという。
同社員は開発のきっかけを今回の震災に加えて
「やっとナイコン族を脱したと思ったらディスプレイのないPC-6001の中古で、しかたないからソラでPLAY文を打ち込んで遊んでいた。あのころの苦しみを思えば今の苦境はへでもない」
と熱く語っていた。なお、発売記念として初回出荷分購入者には「電気屋で勝手にダンプリストの打ち込みをしていて店員に怒られる体験」がプレゼントされる。
PCの代用品による節電ソリューションはNEC以外に各社から続々提案されており、先日もコクヨから
「方眼紙Excel」
が発売されたばかり。こちらも「電気を使わないのにExcelより使いやすい」と好評だ。震災をバネにはじける新たなビジネスに、日本復興の息吹を見た。