群馬県など各地で38度を超える猛暑となった16日。熱中症への注意が呼び掛けられるなか、うだる暑さをしのぐために各地で市民が
「中年男性」
にむらがり涼をとる珍風景が見られた。
「日本一暑い町」で知られる埼玉県熊谷市。午後2時を過ぎるころになると、暑さに耐えられなくなった市民が市内信用金庫在住の田中吉忠さん(42)のもとに殺到しはじめた。
「吉さん、取っておきのギャグを聞かせておくれよ」
「おくれよ」
口々にせがむ彼らに、田中さんは照れ笑いを見せる。
シュプレヒコールが最高潮に達すると、ついに田中さんの渾身のギャグが飛び出した。
「いやあ、今日は猛暑で“もうしょ”うがないねえ」
一面に吹きすさぶ寒風。先ほどまでの暑さがうそのようだ。中にはあまりの寒さに泣き叫ぶ子どももいた。
田中さんのギャグの寒さには定評があり、「人間エターナルフォースブリザード」との異名ももつほど。過去にはあまりの寒さに凍死者を出したこともある。本人は純粋におもしろいと信じているため冬でもギャグを披露するのが玉に傷だが、今やすっかり熊谷の夏には欠かせない存在だ。そんな田中さんの最近の悩みは「リストラに遭い給料が減ったこと」。拝見した財布の中も、かなり寒かった。