21日に日本を飛び立ち、ついに宇宙空間での飛行に成功した「イカロス」。背景には宇宙航空研究開発機構(JAXA)の尽力はもちろんだが、2千年以上前から遠い宇宙への再挑戦を狙ってきたイカロスさん自身の努力があった。そして、その努力と成功をつなげたのが、日本でも古くから知られる
「米粒ののり」
だった。
イカロスさんといえば、むかしギリシアで遠い宇宙への飛行を夢見て、鉄の羽根を身につけて飛び立ったことで知られるアストロノーツの先駆者だ。しかし、当時の技術では羽根をかためるのに使える材料が「ろう」しかなく、離陸して太陽に近づくにつれて溶けてしまうというトラブルが発生。イカロスさんはあえなく墜落してしまった。これは人類史上初の宇宙開発事故として知られている。
しかし、イカロスさんはあきらめなかった。初挑戦から2千年以上にもわたってろうに代わる素材を捜し求め、海を渡りJAXAの協力を得て研究を続けた。その結果みつかったのが、日本でよく使われている米粒をつぶしてつくったのりだった。これらののりは一度乾くと固形化し、ろうのようには溶けない長所がある。今回の飛行では、羽根よりも風をつかまえるのに有利な帆を、この米粒で貼付けたものを使用。関係者が固唾を呑んで見守るなか、ついにフライトに成功した。
今後イカロスさんは、さらに宇宙飛行を続ける予定だが、技術的には
- 空腹のあまり米粒を食べてしまわないか
- 「勇気ひとつが友」というイカロスさんの社交性のなさが、ネックにならないか
といった点が懸念されている。つつがないフライトを祈るばかりだ。