首相の私的諮問機関である行政改革推進委員会は5日、全国の行政機関をむすぶ通信網「行政ネット」の次世代インフラに「Winny」を採用するよう勧める勧告をとりまとめた。Winnyは純国産のインターネットファイル共有ソフト。早ければ4月から試験導入をはじめる見込みだ。
行政ネットは全国20万以上の行政機関を専用線でむすぶ巨大ネットワーク。しかし、昨今の通信費低廉化に比して極端にコスト高であることが識者から指摘され、問題となっていた。
行革推進委ではWinnyが通信費の安いインターネットを利用していることに着目。事業所間での電子書類のやりとりにWinnyのファイル共有機能を活用することで大幅な経費の圧縮と行政のスリム化が見込めるとして、今回の勧告に踏み切った。
ソフト選定にあたって決め手となったのは大きくわけて2点。ひとつは、Winnyが東京大学に勤務する助手が作成した純国産ソフトである点。もうひとつが、すでに多くの公的機関で採用され普及しているという点だ。特に後者はメリットが大きく、
現場の職員が日常的に使用しているというアドバンテージは大きい。操作方法などを習得する必要もなく、すばやく情報共有が可能になる。一般官公庁のみならず、警察や刑務所・自衛隊でも採用実績があるソフトはほかにはない
と関係者は評価する。
市民団体からは「Winny採用で行政事務のスピードアップだけでなく、情報公開の進展も期待できる」との声もある。「かけ声ばかり」と批判されてきた行政改革に成果を残せるかどうか。大きな試金石となりそうだ。