JR東日本の青梅線で、誤って駅に置き去りにされた車掌が全力疾走し次駅で電車に追いついた事故が話題を呼んでいるが、同様のケースが都内私鉄でも発生していたことがわかった。しかも、こんどは車掌が電車を“追い越し”てしまうというあってはならない事態にまで発展。夏の暑さゆえか、鉄道関係者の気のゆるみが浮き彫りになったかっこうだ。
事故が起きたのは、東京の渋谷から吉祥寺までを結ぶ京王電鉄井の頭線。2日午後5時ごろ、吉祥寺方面ゆき電車に乗り込んでいた車掌(32)が下北沢駅でホームに降りたって発車ベルを鳴らしていたところ、運転士が誤って車掌を取り残したまま発車してしまった。このため、車掌はとっさの判断で線路脇道路を猛ダッシュ。次の新代田駅まで追いかけた。
しかしこの車掌、高校時代にインハイ出場も果たした名スプリンターだったことにくわえ、下北沢から新代田までの駅間がわずか500メートルしかなかった不運も重なり、電車を追い越しさらに新代田駅を行き過ぎてしまうという大失態を犯してしまった。電車は車掌が東松原駅から戻ってくるまで同駅で2分待ち合わせ停車。遅れが出て約2千人の足に影響が出たという。
京王電鉄広報部は、
「関係者がみずから電車を追い越すという、利用者の方々に
“井の頭線って乗る意味あるの?”
的な疑問を抱かせる行為を犯してしまい、誠に申し訳ない気持ちだ。今後は車掌に足の遅い者を採用するよう心がけるほか、駅ホームから隣の駅が見えないように目隠しをつけるなど前向きな対策をおこなっていきたい」
と話している。