<環境問題即席専門家・武田邦彦さん>
資産家の邸宅に侵入するまえに下見できる、片思いの彼女の自宅を全方位から眺めて楽しむ─など、これまでにない便利機能を実現してくれている「Googleストリートビュー」。このストリートビューのカメラ視線位置が40センチ下がることが13日までに判明。各方面で物議をかもしている。特に、
「このまま視線位置が下がり続ければさまざまなトラブルが発生し、やがて地球は滅亡する」
とセンセーショナルな説が巷間に流布され、真実として受け止められている。しかし、筆者はここではっきり断言しておきたい。このような説はまったくの嘘・まやかしだ。
ストビューカメラの高さが年40センチずつ下がっていくことによる弊害として、もっとも広く信じられている嘘のひとつが
「6年後には地上5センチの高さとなり、公道を歩く女性のパンツが映るようになってしまう」
というものだ。しかし、これは非科学的なデータに基づく推測でしかない。筆者は、テレビ東京から多数のカメラ映像資料の提供を受け独自分析をおこなった。それによると、実際には
「どんなにきわどい角度からカメラ撮影をおこなっても、女性のパンツは映らない」
ということが明らかになった。極端な事例では、ミニスカ幼女が空を飛ぶシーンを背後から撮影してもパンツは映らなかったのだ。また、他の地方U局から提供を受けた資料では「パンツのようなものが映っているがパンツじゃないから恥ずかしくない」という事例もあった。何年経とうがパンツは映らないのだ。
また、ストビューの高さ変動が地球環境に壊滅的な打撃を与える事例として環境保護論者が声高に指摘しているのが「7500万年後にはカメラが地下3000キロのコアにまで到達。マグマを噴出させるのみならず、コアの回転を停止させ異常気象を巻き起こす」という説だ。だが、これも短期的な視野でしかものごとを見ていないゆえの誤った結論だ。地球が長い目で見れば寒冷な時期や温暖な時期を繰り返してきたように、
「ストビューカメラも長期的視野に立てば高くなったり低くなったりする」
可能性が高い。実際筆者が試算したところ、7500万年後にコアに到達したストビューカメラはその後1250万年かけてコアの中心を通過し、こんどはだんだんと高さを増してゆくことがわかっている。しかも、1億7500万年後には地上ゼロセンチメートルまで再浮上するというのだ。この際には副次作用として日本-ブラジル間にトンネルが完成し、物流に多大な恩恵を与えることもわかっている。ストビューの高さが下がることは害ではない。むしろ有益なのだ。
人間は「プライバシーを守るため」「地球を守るため」という大義名分に弱い。こうした錦の御旗を掲げられると理知的な判断能力を失い感情的になってしまいがちだ。われわれにとって今必要なのは科学的根拠のない妄言に踊らされることではなく、冷静に
「ていうか、カメラの位置を下げればいいと思ってる傲慢さが鼻につくんだよボケ」
という視点に立ってGoogleと話し合っていくことではないだろうか。