<評論家・北沢たかしくん(11さい)>
ようやく夏休みが始まった。全国の小中学生はつかのまの自由を満喫していることだろう。しかし、その自由を奪おうとデマをでっちあげ、子どもたちを不安に陥れようとする勢力が暗躍しているのをご存知だろうか。休みが始まったばかりの先週。私が近所の新古書店で読書していると、ひとりの怪しげな女性が近づいてきた。担任のよし子先生である。彼女は
「“夏休みの友”、やっていますか?」
とたずねる。“夏休みの友”!? それは何ですかと聞くと、休み中にやるように渡したワークブックで200ページはある、と言うのだ。
そんな話は初耳である。不安にかられ、慌ててクラスメートにメールで聞いてみた。すると「あったよ。もうやっちゃった」と答える者が。本当だったのか…。しかし、このように答える連中には共通点があった。例外なく成績優秀で、先生と仲がよいのである。念のため成績が悪い同級生に確認するといずれも「え? あったっけ?」と答えるか、不自然に口ごもるのであった。私は確信した。夏休みの友はなかったのだ。
そもそも夏休みの友など、合理的に考えればあるはずがない。
- 一日にできる宿題はせいぜい2ページの漢字書き取りが限度である。単純に計算しても、30日程度の夏休み中に200ページもの宿題をやることは物理的に不可能だ
- 1学期の最終日にそんなものを手渡されていたとすれば、荷物がいっぱいになっていたハズである。しかし終業式から帰った私のランドセルには、ニンテンドーDSと給食のパンしか入っていなかった
- 仮に存在するしたら、夏休みの友は毎日少しずつやるものだろう。日が経てば白いページは減っていくはずだ。しかし、実際には全然減らず、むしろ増えているような気さえする。こんなことはありえない
やはり、夏休みの友はなかった!
しかし、なぜ彼女はこのようなデマを流し、われわれを不安にするのか…。よし子先生と言えば、学級通信に「子どもたちひとりひとりの得意分野を伸ばすようがんばりたいと思います」と臆面もなく書くようなサヨク教師である。間違いなく日教組の尖兵であり、子どもの赤化を狙っている。だが理由はそれだけではあるまい。三十過ぎて独身のよし子先生は、われわれの若さが憎いのだ。夏休みという若者の貴重なひとときを奪い、若さに復讐したいのだ。なんという恐ろしい陰謀…。再び声を大にして言おう。夏休みの友はなかった!