東京モノレール(本社:港区)は15日、同社が羽田空港発の乗客向けに提供している「モノレール&山手線内割引きっぷ」の販売を今後取りやめることを決めた。同空港へのアクセス手段が多様化するなか「意外に安い」と利用者からは好評だったが、「おやじギャグの原因になる」との苦情が相次いだため異例の決定を下した。
この割引きっぷは、東京モノレールが経営改善のためJR東日本傘下に入って以来、利用率アップの施策のひとつとして提供されていたもの。土日祝日限定ながら、羽田空港第1・第2ビル駅から浜松町のモノレール区間にくわえJR山手線内ならどこで下車しても500円で、最大220円おトクとなる。京急ほか各線が乗り入れるなど羽田へのアクセス手段が多様化するなか、対抗策のひとつとして同社が積極的にPRしていたほか利用者からも評価が高く、最近の乗車率向上に大いに寄与していたと言われる。しかし、存在がメジャーになるにつれ「割引きっぷを買うたびにくだらないギャグを連発するおやじがいて困る」とのクレームが急増していた。
都内企業に勤める会社員Aさん(25)も被害者のひとり。
「九州出張からの帰り、課長に
“ほら、このきっぷなら山手線にもモノレールにも乗れーる ”
としつこくからまれた。休日出勤のうえおやじギャグを聞かされるのはうんざり。殺してやろうかと思った」
と恐怖体験を語る。同様の事案は交通費精算を担当する企業の経理部門などから相次いでおり、「業務効率が低下した」など東京モノレールに入った苦情は今年だけですでに5,000件以上にものぼるという。同社は「これ以上の割引きっぷ提供は企業イメージの低下につながる」として、来月から販売をとりやめることに決めた。
東京モノレールの齋藤雅之社長は弊紙の取材に
「せっかくバカウケのギャグのねたになると思って企画したきっぷだったのに残念。でも、いつか元通りに
ものれる よね…。」
と語り、同席した部下から白い目で見られていた。