貞男3D
無医村のうえ、村が手配した医師が次々と辞めていくという謎の現象に悩まされている秋田県・上小阿仁村。これまで「なぜ医師が定着しないのか」は謎として約3,000人の村民を悩ませてきたが、このたび弊紙の調査で、背景に上小阿仁村に伝わる恐ろしい呪いのあることがわかった。無医村解消のヒントになりそうだ。
上小阿仁村では村営診療所の所長が4年あまりのあいだに5人も辞職するという事態に追い込まれ、全国的にも話題になっている。今回、弊紙が独自に調査した結果によると、この元凶となっているのは60年ほど前のある事件で生まれた「呪いのカルテ」の可能性が高いという。
……60年前。戦後間もない混乱期で今と同じく無医村となっていた上小阿仁村に、山村貞男という医師がぶらりとやってきた。男は医術の力量もさることながら、患者を一目見るだけで病状を理解してしまうという力を持っており、「千里眼」の異名をとりつつ村民に尊敬されていた。やがて村の名士の娘が貞男に惚れるが、貞男はこれをにべもなく断った。娘は愛情あまって憎さ百倍、貞男を古井戸に落として殺してしまう。村民は名士の力を恐れ、事件を永久に封印した。
古井戸に落とされた貞男の霊は無念に思い、超能力を使って憎悪の念を診療所のカルテに念写。「カルテを見た者は7ヶ月以内に辞めたくなる」という呪いをかけた。上小阿仁診療所には、いまだにこのカルテが残っており、たまたま見てしまった歴代所長が次々と呪いにかかったものと推測される。
消息筋によれば、このままでは無医村化が避けられないと見た村は診療所で遅れていた電子カルテ導入に早急に着手。呪いのカルテを無効化する方針で検討中とのことだ。