警察庁が1日発表した犯罪統計によると、昨年一年間の「体感での殺人事件発生件数」が戦後最悪の多さを記録したことがわかった。かねてから指摘されている治安悪化を如実にあらわしたかっこうで、共謀罪新設や青少年健全育成策の必要性があらためて浮き彫りになった。
統計は、新橋駅前のサラリーマンやファミレスで井戸端会議中の主婦、給湯室でむだばなし中のOLへの聞き取り形式でデータを収集する「まちかど治安調査」の結果をまとめたもの。
「あなたは昨年一年間でどのくらい殺人が起きたと思いますか」
という質問への回答を平均したところ、123万4千件となった。この件数は今年はじまった同調査で戦後もっとも多いものだという。
また、同時に聴取した「あなたは昨年どのような殺人を見たり聞いたりしましたか」との問いには
- 美人姉妹を密室でオランウータンが撲殺
- 孤島に集まった10人を元判事がわらべうたに合わせて血祭りに
- 結婚式を前に名家で殺人事件に見せかけた自殺が
などの回答が寄せられた。いずれも過去に例のない凄惨なもので、手口の残忍化がめだつ。
警察庁では「体感治安の悪化がよもやここまで…と忸怩たる思いだ。行政・立法・司法一丸となって対策を練るべきときがきたのではないか」と見ており、懸案となっている共謀罪の新設をあらためて推進するほか、児童ポルノ単純所持禁止、バレンタイン禁止などに真摯に取り組んでいきたいとしている。