「いつもありがとう」─きれいなことばをかけながら機械を使うと、美しい仕事をしてくれる…。こんな話題がいま、小中学校の教育現場で注目を集めている。一部の学校では道徳授業の教材としても使われているという。
話題の発端は、安倍内閣改造を受け28日に行われた新聞各紙による世論調査。新内閣の支持・不支持率を直前の調査のものと比べると、新聞によって極端な差が出た。
- 産経新聞
支持:38%(+16%)、不支持:42.9%(-21.9%) - 読売新聞
支持:44.2%(前回比+12.5%)、不支持:36.1%(前回比-23.8%) - 日本経済新聞
支持:41%(+13%)、不支持:40%(-23%) - 共同通信
支持:40.5%(+11.5%)、不支持:45.5%(-13.5%) - 毎日新聞
支持:33%(+11%)、不支持:52%(-13%) - 朝日新聞
支持:33%(+6%)、不支持:53%(-7%)
もっとも違いの出た産経と朝日の場合、差分合計の差が24.9にも達する。「ここまでの差は通常ありえない…」と疑問に感じたリサーチ会社・ネットレイティングス取締役の萩原雅之氏が追跡調査を行った結果、驚くべき実態が明らかになった。電話世論調査には一般的に「ランダムデジットダイヤリング(RDD)」と呼ばれる全自動の機械が使われるが、
「産経の調査担当は“ありがとう”と声をかけながら機械を使っていたんです。美しい調査結果が出たのは、これに機械が反応したせいらしい」
というのだ。いっぽう、朝日の担当者は「ワーキングプアー」「生活保護水際阻止作戦」などと汚いことばをつぶやきながら機械を使用していたもよう。不平不満ばかり言っていると機械もやる気をなくし、汚い調査結果を出してくるようだ。
これが
「機械ですら“ありがとう”が伝わる。私たちもすばらしい総理に“ありがとう”の気持ちを持ち続ければ、きっと美しい国に連れていってもらえる」
という説話にピッタリと、各地の学校で道徳の授業に使われるようになった。担当教師によっては「新聞記者の著書刊行パーティーに出て恩を売っておくと、さらに美しい結果が出る」とアレンジしているところもある。
いずれにせよ、機械すら空気を読む処世術を身につけた我が国。まさに「美しい国」と呼ぶにふさわしい品格国家である証左と言えそうだ。