<“日本人のこころ”評論家・川内康範さん>
14日は、いよいよ忘れてはいけない国民的行事「ホワイトデー」の日である。筆者のまわりの男も
「用意はすんだか」
「いくらのお返しをするか」
とかまびすしい。…しかしそのようなことばを耳にするたび、筆者は今の男どもの情けなさを憂い、わが国の将来を危ぶむのである。
言うまでもなく問題は、バレンタインデーの返礼を
「いくら」
とカネ勘定の問題におとしめてしまっていることだ。いわんや「3倍返しだからたいへんだよ」などとニヤついている下衆についてをや、だ。たかだか3倍程度で、男女間の情念をカネに換算できるという発想が卑しい。このような輩は人間関係すべてをカネで買えると思いこんでいるとみなされてもしかたない。
今でも合掌づくりの残るとある村落では、屋根の葺き替えを手伝ったお礼を「カネで返してはいけない」という掟があるという。受けた恩義はかならずカラダで返す。これこそが礼を尽くすということであり、古来日本で当然とされてきた美徳なのである。
あなたが大和男児なら、
「バレンタインの礼はカラダで返すべき」
というのはもはや自明である。一宿一飯ならぬ一チョコレートの礼を一夜の伽で返すのが美しい日本のこころ。ホワイトデー当日には、チョコをくれた女性に無言実行で操を捧げたい。
恩義のある人物に誠意を示すのが礼儀なら、もちろん恩義のない人物にまで誠意の対象を広げても罰はあたらないはずだ。チョコレートをくれなかった女性にも性いっぱいの礼を尽くしてはどうだろうか。筆者も14日は深夜の路上で好みの女性を見つけ、大和男児の本領を発揮したいと考えている。