中堅出版社の扶桑社(フジ・サンケイグループ)が、自社社員に対し差別的な発言を行ったとして顧客を相手取って民事訴訟を起こしていたことがわかった。
問題が起きたのは今年3月。栃木県大田原市で教育委員を務める男性A氏(65)宅を同社社員(45)が訪れ、営業活動を行ったところ、
「お前は右翼か。
靖国神社に帰れ」
などと2時間にわたり思想信条を差別する暴言を吐かれたという。社員と扶桑社は「精神的苦痛を受けた」として400万円の損害賠償を求めて東京地裁に訴えでた。
訴えられたA氏は、
「事実無根で驚いている。社員には突然
“品格ある美しい国をつくるために新しい歴史教科書を採用しろ”
と強引に迫られた。教育委員会での採択後、支援する次期総理候補が統一協会の走狗だったりアメリカネズミの手先だったと知り、“話が違う”と苦情を申し立てただけ」
と話しており、双方の言い分がまったく食い違っている状況だ。
扶桑社では、
「右翼は、個人的なコンプレックスを外国を見下すことで解消しているマイノリティ。弊社は企業として、弱い立場にある右翼社員の人権を守る義務がある」
と訴訟を支援するに至った事情を説明している。
最近では積水ハウスも社員に対する人権侵害で顧客を提訴して話題を呼んでいる。相次ぐ訴訟は企業による人権保護意識の高まりのあらわれと言えそうだ。