三代にわたる政治家の家系出身で「政界のマイケル」と異名を取る現官房長官が、みずからの政治思想を著した渾身の書。次期首相候補と目される安倍氏の「所信表明演説」ともいうべき注目の一冊だ。
表題の「美国」とは、もちろんアメリカ合衆国の漢字表記。本文ではタイトルどおり、安倍氏が宗主国と崇拝してやまないアメリカへの媚び・へつらいが、思うさまつづられている。ある意味、この本は安倍晋三という男のアメリカへのラブレターである。
本書で注目すべきは帯の煽り文句にもある
「自信と誇りのもてる日本へ」
とわが国が変容していくための、具体的提案が記されている点。安倍氏は、その具体的方策を
「正式に合衆国に加盟して52番目の州になることでパックス・アメリカーナの庇護の下に入り、世界に君臨する警察国家の一部だという誇りをもつこと」
とはっきり述べている。国民の精神的な問題だけでなく、憲法九条の問題も靖国神社の問題もまとめて解決する画期的なブレイクスルーだ。
また、現在日本が抱えている危急の問題である「少子化」についても、
「統一協会の国教化により、合同結婚式で若者をどんどん結婚させる」
という解決策を提示。30過ぎて童貞の非モテ男性にはうれしい政策といえるだろう。しかし、ニート向けに「再チャレンジ推進」を掲げる安倍氏ながら、合同結婚式でのパートナーの「チェンジ」は許さないとの記述もある。たまたま容貌に問題のある女性と結婚させられた場合は運命と思ってあきらめるしかないだろう。
<お詫び>
文中「政界のマイケル」との表記がございましたが、正しくは「政界のプリンス」でした。かつてのプリンス自動車のように「精彩を欠いたあげく他社に吸収合併される」意味をあらわしております。謹んで訂正させていただきます。