カビ毒であるアフラトキシンB1の混入した“事故米”が偽装されて一部に出荷されていた事件で、影響が地方の郷土食にも広がっていることが11日までにわかった。事故米が栃木県内のスーパーで販売された
「しもつかれ」
の原材料として使われていたもので、すでに自主回収中だが購入したなかで実際に食べた者はおらず健康被害はないもよう。
しもつかれは、魚のアラや野菜くずなど残飯を適当にまぜてなんやかやした栃木の郷土食。見た目が吐瀉物に似ていることで知られる。問題が発覚したのは県北を中心に展開する「スーパーみますや」(本社:栃木県)がチェーン各店舗で今年8月までに製造・販売していたおよそ250トンぶん。原材料に三笠フーズの偽装出荷したアフラトキシン汚染米がふくまれていたことが昨日までに判明。みますやは即日自主回収にふみきった。
しかし、購入した客らはいずれも
「気の迷いで買ってしまったが、まずそうだったので食べなかった」
「すぐ捨てた」
など、実際に口に入れておらずぶじであることが確認された。県内の小学生・百目木雄二くん(11)も「見た目で“食えない”とわかったので残した。やっぱ毒だったんけ。死ぐとこだった」と胸をなでおろす。
被害者が出なかったのが不幸中の幸いとはいえ、地方の貴重な文化である郷土食にまで危険な毒をまきちらした三笠フーズの企業責任があらためて問われそうだ。この件について、栃木県の福田富一知事は
「被害者が出なかったのは、明らかにしもつかれのおかげ。今後もどんどん給食に出していきたい」
とのコメントを発表している。