日本SFファン保護連合会は横浜で開催中の日本SF大会で、日本のSF文化に貢献した作品を選ぶ「星雲賞」受賞作品を発表した。今回のグランプリ受賞作は落語「時そば」。古典落語が同賞を受賞するのははじめて。
星雲賞は今年で38回目の選出となるが、「SF」と言う際に「ムチとかローソクとか使うヤツじゃないです」と説明しなければ理解してもらえない昨今、日本SF界は良作不足による絶滅の危機に瀕しており、
- 大作の焼き直し
- マニア受けしかしない自己満足のかたまり
- オタク向けラノベ
を除くと「授賞に足る作品がない」という問題を抱えていた。
今回「時そば」が選出された背景には「今がダメなら“昔はよかった”で自尊心をくすぐろう」というお手軽な発想が見え隠れするが、連合会は公式には
「江戸時代にタイムパラドックスを扱った野心的な作品であり、芸としての完成度も高い」
との選評を述べている。
会場では賞の授与のほか、霊界通信機で5代目柳家小さんを呼び出しての「時そば」デモンストレーションも行われ、高齢化と少子化の進むSFファンの弱々しい拍手を集めていた。