安倍総理は28日、自殺総合対策会議の報告を同会議会長である塩崎恭久官房長官から官邸内で受け、
「国民にこれ以上悲劇を繰り返させてはならない」
と述べ自殺対策の必要性を強調した。また、「十年後までに自殺率を20%以上減少させる」との目標達成についても断固として実現するとの決意を表明。自殺対策に不退転の決意で臨む姿勢を鮮明にした。
塩崎会長との会談中、総理は
「自殺は本人の意志だけの問題ではない。みずから命を絶たざるをえなくするよう無言の圧力をかける風潮が、わが国にははびこっている。根本的に人々のものの考え方、社会のありかたを変えなくては“犠牲者”は増え続けるばかりだ」
と鋭く指摘。自殺者は政治や選挙といった大きなうねりの被害者だという見方を示した。
これには塩崎会長も大きくうなずいて賛同。
「良いことは良い、悪いことは悪い─としてその場その場できちんと対処し、問題を解決してあげれば死ななくて済んだ自殺者も多い。先ず隗より始めよ、だ。われわれ政治家が率先して自浄能力を発揮することで、住みやすい社会を作っていこう」
との意見で一致したという。
自殺率20%減達成のための具体策について、首相は
- 政治にカネがかかるしくみの改善
- 政治家を利権の出先機関にしないために、支援団体などとの関係を明確にするしくみの導入
を挙げている。会談後の記者会見では「こうした考え方で政界を浄化していれば、過去5人くらいは死ななくて済んだはず…」と静かな面持ちで語り、この問題に取り組む真摯な態度をあらわにしていた。