無線LANの普及で家庭用ネットアプライアンスのワイヤレス化が進んでいるが、それに伴って新たな問題が顕在化してきた。屋外での長距離拠点間通信には、現行のIEEE 802.11方式では対応できないという弱点だ。これに対する新たなソリューションとして、アイ・オー・データ機器が提案するのが、
“のろし対応新型NAS”
である。さっそく試用してみた。
今回試したのは同社の「HDL-160U」。1年以上前のモデルだが、ファームウェアの更新により電源ユニットからの発煙機能を利用して「のろし通信」が可能。従来ならせいぜい一軒の家の中だけに限られていたワイヤレスでのエロ画像共有が、のろしの見える範囲なら山一つ越えた相手とも気軽におこなえるようになった。
筆者の場合は自宅屋根にHDL-160Uを設置。10キロほど離れたところに住む知人に、ファイルの読み取りをしてもらった。受信側に肉眼以外の特別な機器が要らないのも、のろし方式の大きなメリットだろう。ベンチマークでは、1ギガバイトの児童ポルノ動画を読み込んだ時、およそ毎分1ビットという高スループットを叩き出した。
いただけない点をしいて挙げると
- 通信を頻繁におこなうと設置場所の家屋を全焼してしまうことがある
- ときどき、間違ってインディアンがやってくる
といったところが気になる。しかし、相互運用性の高さや通信時の省電力性には、競合製品にないアドバンテージがあると感じた。今後の成長に期待したいプロダクトだ。
【レビュアー:西麻布弘茂】