東京・有明の海辺で17日、例年この時期に行われる「有明塩づくり」が今夏もまたはじまった。長い伝統を誇り、天日を使う自然な製塩法にこだわったこの塩作り。折からの猛暑も手伝って、獲れた塩は質も量も「上々」だという。
17日早朝。会場に塩づくりを手伝うボランティアがつめかける。その数およそ50万人。有明の強い日射しの下にずらりと並んだ人々は、だらだらと汗をかきはじめる。ときおりポカリスエットで水分補給をしながら小一時間。やがてシャツやズボンにほんのりと白いスジが…。これが有名な
「有明塩」
だ。
有明塩は、いっさい化学合成を行わない天然塩として全国で珍重されている。元手がかからないため価格もそれほど高くなく、一般の家庭でも赤いキャップの小瓶に詰められて食卓塩として親しまれる。多くの人々が日常的に口にし、お世話になっているはずだ。
シャツにたまった塩は、定期的にスタッフが巡回して井上陽水「夢の中へ」をBGMにしながらヘラではぎとってゆく。なぜこの曲をかけるのかと尋ねると、陽水の独特の声質が塩の分子に作用し味をまろやかにしあげてくれるのだと説明があった。収穫は18・19日まで続けられ、総収量はおよそ10万トンにのぼる。
「楽しんでボランティアをしてもらえるよう、会場では息抜きのマンガ本即売会なども行っている。週末にはカップル、親子連れでぜひ参加してほしい」
と語るのはスタッフ代表の米澤英子さん。夏終盤の思い出づくりに、あなたも有明塩づくりに行ってみてはいかがだろう。