中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発を視察中の国際原子力機関(IAEA)調査団は10日、新潟県柏崎市内のスシ・バーを訪問。報道陣の前でおいしいすしをおなかいっぱい堪能し、現地の食の安全性をアピールしてみせた。柏崎市・刈羽村では同原発の被災以来、海に漏出した放射能にかかわる風評が多くの人々に被害をもたらしている。
団長のフィリップ・ジャメ原子力施設安全部長はじめ6名の団員が訪れたのは、市中央繁華街のスシ・バー「ミフネ」。大将のエドモンド本田さん(56)は、本場ロサンゼルスで修行を積んだ本格すし職人だ。カウンターに腰掛けたジャメ部長らは、店でいちばんのオススメという「カリフォルニア巻き」をさっそく注文。カニかまとアボカド、きゅうりの鮮やかな色が織りなすロールの美しさに、一同
「オー!」
「ビューティフル!」
「フジヤマ」
と賞賛の嵐だった。
ほかにかんぴょう巻き、かっぱ巻きなどを楽しんだジャメ部長は、
「とてもおいしかった。生の魚を食べるのはとても野蛮だが、これなら私たち文明人も楽しめる。もちろん放射能は心配ない」
と、事実上の“安全宣言”。「あしたはトーキョーでゲイシャだ。こっちも安全と願いたいね」と笑っていた。
一行はその後、完全防備の放射能防護服に着替えると「スーコー…スーコー…」と音を立てながら、灰の降りしきる市中を歩いて宿泊先ホテルへと戻っていった。