悪辣な新興起業家の巣窟となっている六本木で、またもヒルズ族の良識を疑わせるようなトラブルが…。港区六本木に30日開店したカフェが、とある伝統芸能宗家の名前を無断で使用していることがわかった。被害をうけた宗家では訴訟も検討中という。
問題になっているのは、この日開店したばかりの執事カフェ「セバスチャン」。高い紅茶とまずい料理という英国スタイルにこだわった店舗で、執事指名料1,000円を徴収するなど暴利をむさぼっている。同店の名称「セバスチャン」はいかにも「本格的な執事らしい」との印象を与えるが、実は
執事道宗家「セバス流」
の印可を取得していないことが宗家の確認で判明した。
セバス流は
「セバス宗左」
を開祖とする執事道最大の流派。1549年の南蛮船漂着で日本に伝来した執事の文化をより洗練させ、日本独自の「執事道」にまで高めてきた。「お嬢様のスカートのプリーツは乱さぬよう、セーラーカラーは翻らせぬよう」がここでのたしなみだ。
国内で執事を名乗るにはセバス流の師匠について修行を受けたうえで、印可の交付が必要。この際、新たな字として「セバス某」の号を得る。日本の執事がすべて
「セバスちゃん」
「セバス」
と呼ばれているのはこのためである。件の執事カフェが印可なしに「セバス」を名乗っていることはこの伝統を侵すもので、不当競争防止法違反のおそれもある。
池袋の執事カフェ「スワロウテイル」で執事を務めるセバス宗珀さんは、
「むやみにお怒りになるのは、決してご自分のためにならないことでございます。お嬢様」
と冷静に事態を見守るかまえをみせている。が、執事のなかには英国国教会を守り吸血鬼を素手で倒したり、巨大ロボや重火器の扱いに長けているなど血の気の多い者もいるため、宗家の名を汚す輩にリンチを加える暴動騒ぎに発展しかねないとの見方もある。
名称問題について「セバスチャン」に問い合わせたところ、「主人が不在のためコメントできません」とのことだった。