巨額の費用が必要となる原発事故賠償金捻出の財源として、政府が東京電力の企業年金・退職金積立取り崩しを求めている件について、同社の清水正孝社長が
「ただちに老後の生活に影響を与えるものではない」
として快諾する方針であることが、14日までにわかった。
賠償については「東京電力が身を削ってでも支払うべき」とする意見が政界で強いいっぽう、原子力発電事業にまったくタッチしてこなかった末端の社員にまで負担を求めることになるため「老後の虎の子をいきなり奪うのか」と反論する声もあり、年金・退職金の充当決定をためらわせていた。
しかし東電の試算によると、社員らが定年退職したあとの家計には一定の公的年金の給付があるため、老後の家計が
「ただちに破綻するような影響はない」
ことがわかった。また、生活保護制度により憲法の定める「最低限文化的な生活」を営むことが可能なため「冷静に家計をやりくりすれば10~20年以内には破綻しない家計がほとんど」だという。
清水社長は今回の件について
「被災した方々のためにも、パニックを起こすことなく粛々と対応していきたい」
と話している。