出版大手の集英社(本社:東京都)が2008年5月期までの5年間に、約5億円にものぼる所得隠しをおこなっていたことがわかった。東京国税局の税務調査で指摘されたもので、マンガ雑誌「少年ジャンプ」に連載されている人気作品「HUNTER×HUNTER」の休載回数を実際より多く申告し、所得を少なく計上していたという。
HUNTER×HUNTERはマンガ家・冨樫義博さんの作品で、単行本の累計販売部数が3千万部を超えるなど絶大な人気を誇る。集英社の抱えるコンテンツの中でも有力な稼ぎ頭だが、同社は税務申告の際に
「休載が多くてぜんぜん儲かってない」
などと不当に売り上げを少なく申告していた。
国税局によれば、同社はひどいときにはHUNTER×HUNTERが
「1年7ヶ月も休載が続いてぜんぜん売れなかった」
「落書き同然の未完成原稿を載せてぜんぜん売れなかった
などと虚偽申告していたとのこと。担当者が「そんなに頻繁に休載するとか、未完成原稿とか、プロのマンガ家にはありえない。失礼きわまりない」と怪しんだことから調査が始まり、今回の所得隠し指摘につながったとしている。
集英社広報部では
「指摘にしたがって正しく申告し直した。HUNTER×HUNTERについては、今後は過小申告の道具として悪用しないよう気をつけたい」
と話している。