今年もあと2ヶ月ほどでクリスマスがやってくる。かき入れどきに向け気の早いデパートやホテルがそろそろ宣伝を始める時期だが、今年は想定外の事態に各業界とも対応に追われている状態だ。衆院解散前に可決された“ハッピーフライデー法”こと「改正国民の祝日法」で、クリスマスの日程が前倒しになったためだ。
ハッピーフライデー法は、大型連休を増やし休暇を取りやすくするための一連の施策のひとつ。特定の祝日が日曜日にあたった場合、前週の金曜日にずらすことを定めている。今年のクリスマスはこの特例に該当するため例年の12月25日ではなく23日となる。カレンダー等はすでに対応を終えており12月23日を祝日としている。しかし、法案可決が衆院の「郵政解散」直前だったため、消費者のあいだには周知が徹底していないのが現状だ。
「24~25日に間違って赤坂プリンスのスイートを予約してしまった」と頭を抱えるのは、都内IT企業に勤める会社役員の男性(32)。前倒しになったイブの22日から23日に予約を取り直そうとしたが、すでに満室と断られてしまったという。総務省の調べによると、渋谷駅前「Q’FRONT」など大型街頭ビジョンには誤って24日夜に「ミチコ! 結婚しよう!」といったパーソナルメッセージを出稿する者が相次いでおり、経済的な影響は少なくないと見込まれている。同省は「24~25日に高額商品・サービスの予約を入れている顧客に確認を取るように」と関連業界に指導している。
いっぽう、もともとクリスマス文化に否定的な「ひとりぼっちの聖夜を過ごす会」のように、「これを機会にクリスマスの過ごし方を改めるべき」と呼びかける団体もある。同会代表の溝口茂氏(独身・42)は
今回のできごとは、聖夜を性夜と取り違え楽しく過ごしてきた者たちへの天罰。一日だけケーキを食べ、キリスト教式に祝うのもおかしい。この際、仏式に切り替えるべき
と語る。溝口氏らは啓蒙のため、12月までクリスマスケーキの代わりとして月餅の無償配布を行う予定だ。