秋田県羽後町のJA羽後は20日、同県が誇るブランド米「あきたこまち」から取り出した遺伝子でクローン牛を生産することに成功したと発表した。クローン牛の生産はすでに市場にふつうに出荷されるのも目の前のレベルまで来ているが、
「植物であるイネから動物であるウシのクローンを生産するとは、生物学史に残る快挙」
だとして関係者は熱い視線を注いでいる。
JA羽後では、同町で栽培されたあきたこまちから遺伝子を抽出。ふつうの牛の卵細胞を適当に処理したものに注入し牝牛に着床させたところ、ブランド牛として知られる「羽後牛」のクローンが生まれたという。異種間はもちろんだが、動植物の垣根を超えたクローンはきわめてめずらしい。
生まれたクローン牛はすでに一般市場への出荷が決まっており、地元限定レトルトカレーの材料として使われる。カレーのパッケージの絵師には、羽後産あきたこまちのイメージキャラクター制作にも携わり話題を呼んだ美少女ゲームイラストレーター・西又葵氏の起用が決まっている。「あきたこまちからのクローン牛だということを念頭に描いてほしい」というJAからの要望に、西又氏はみごとに応えたもよう。
「あきたこまちのときのキャラとまったく見分けがつかない。まさにクローンのイメージにピッタリな絵が上がってきた」
と、JA広報部は大喜びだ。
ただ、クローン牛を食用にした場合の安全性については、まだ疑問の余地もある。日本でも19日にようやく食品安全委員会の作業部会が評価作業をはじめたばかり。一部では、
「食べると人体に悪影響があり、同じ顔のキャラしか描けなくなってしまうのではないか」
と、消費者団体らの指摘もある。購入はウケ狙いにとどめておいたほうがよさそうだ。