「“再生”なので財政にやさしく、戦果も挙げやすい」といううたい文句、実はウソでした─。大手怪人メーカーの死神博士(本社:東京)が、実際には再生原料を使っていない「再生怪人」を長年出荷していたことが18日までにわかった。秘密結社各社は事態を重く見て死神博士との取引を中止する方針を相次いで決めている。
調べによると、死神博士は1970年代から
「イチからつくるよりも安く、いちどはヒーローと戦っているため一定の戦果を期待できる」
というふれこみで、倒された怪人を再生して使えるようにした「再生怪人」の売り込みをはじめた。これがコスト意識の高い業界各社の注目を集め、デストロン(本部:東京)をはじめ多くの秘密結社が大量購入してきた。特に財政事情が厳しくなる番組終盤には重宝されている。しかし、一部では
- 戦果が期待できるというわりには弱すぎる
- セリフが少ない
など疑惑を指摘する声がささやかれていた。
実態があきらかになったのは、今月はじめに大手マスコミに送られてきた内部告発がきっかけ。
「再生怪人はリサイクル材料を使っていない。無名の新人に着ぐるみを着せて出荷しているだけ。品質は非常に悪く、ほとんど戦力にならない」
という指摘だった。これを受けて報道陣の取材攻勢にさらされた死神博士は17日に声明を発表。「再生怪人のリサイクル率は1%以下だった」と謝罪した。
死神博士は、これまで“偽装出荷”を続けてきたことについて「賠償をふくめ真摯に対応したい」としているが、期待を裏切られた秘密結社側の怒りはおさまらない。関係者のひとりは、
「これなら勝てると思って購入したのに。偽装のせいで散っていった戦闘員のみなさんに申し訳ない。もう何も信じられない。この世に正義はないのか」
とふんまんやるかたないようすだった。