「借金を返せなければ体を捧げる」─念書をたてに女性に無理矢理関係を迫ったとして逮捕されていた男の裁判が、16日に札幌地裁で開かれた。担当の紅須宝子裁判長は、条件付きながら
「念書は有効。女性の体は被告のもの」
とする意外な判決を下した。
この事件は、北海道森町常盤町在住の金貸し・紗井六朗被告(75)が、知り合いの主婦(21)に金を貸すかわりに体を捧げるとの念書を書かせ、これを理由に関係を迫ったことから婦女暴行未遂で逮捕されていたもの。被告は「念書は有効」として無罪を主張していた。
きょうの裁判で、まず紅須裁判長は
「確かに念書は有効。主婦の体は紗井被告のものだ」
と述べた。これには被告も「賢く正しい裁判官さま! 大岡様がいらっしゃったのだ!」と小躍り。しかし、続けて
「なるほど体はお前のものとしよう。だが、バルトリン腺液は一滴たりとも流してはならぬぞ。それは念書にはないことだ」
と裁判長が付け加えると形勢は逆転。主婦側の傍聴席が沸いた。
「体は手に入っても濡らしてはならぬとは…そんなマグロは要らない…」と、うなだれる被告。傍聴席からは「下の口にこだわらなければいいのではないか」との助言も聞かれたが、よほどショックだったのか耳に入らないようすのまま廷吏に引かれて法廷を出ていった。