自衛隊に「ありがとう」と張り紙をすると気持ちが伝わり、美しい法案が国会で成立する──こんな不思議な現象が、いま政治の現場で注目を集めている。与党議員や官僚らがこれを応用し、野党の教導に使おうという動きも活発だ。
「自衛隊さん、ありがとう」
外務省官僚が紙切れを自衛隊に貼り付けている。アメリカと協力して書いた国連安保理決議だ。貼った瞬間から、みるみる美しい延長法案ができあがっていく。イラク行きの米軍に給油するのが特措法違反だとか、そもそも対テロ戦争って錦の御旗自体どうよ? といった些末なことが気にならないほどの美しさ。記者も思わず強行採決を認めたくなってしまった。
軍隊に美しいことばをかけてやると反応するという事例は、過去にも何度か報告されている。70年ほど前には「統帥権の干犯」という紙を貼ってやったところ、世界最強の美しい軍隊に育ったという例があった。法的な根拠はまだ解明されていないが、
「世の中には理屈で説明できないこともある、ということではないでしょうか」
と関係者は語る。
また、お茶の水女子大の藤原正彦教授は、さらなる展開として
「国に“品格ある国家”と書いた紙を貼り付けたら、首相が突然逃散するような恥ずかしい事態がなくなるのではないか。頭に“ふさふさ”と貼ったらバーコードハゲが治るのではないか」
といった研究を進めている。しかし、一部から「とんだニセ科学だ」などという誹謗中傷の声が上がっているため、藤原教授は積極的に裁判に打って出て批判を封殺する方針だ。