米国で出版されている権威ある科学誌の表紙に、日本のまんが家によるイラストが─。類を見ないユニークなコラボレーションとして話題を呼んでいる。これも「まんが立国ニッポン」の成果のひとつ?!
話題になっているのは、全米筋肉医学会のジャーナル「Muscle(マッスル)」の今月7日発行分。同誌に論文を寄せた瀬藤光利・自然科学研究機構生理学研究所准教授が、かねてからファンだったというまんが家・ふくしま政美さんに「論文のイメージを描いて欲しい」と依頼したところ、ふくしまさんがこれを快諾。通常マッスルの表紙には筋細胞の顕微鏡写真などが載るが、編集部も興味を示したことから今回の異例の組み合わせが実現した。
瀬藤准教授のグループは「美しい筋細胞を鍛える化学的手法」を研究しており、これに基づいて理想的な筋肉を備えた生物個体を「聖マッスル」と名付けた。表紙のまんがは、聖マッスルが美しい肉体美で邪悪な暴君を打ち倒すようすが描かれているほか、タイトルをよく観察すると無数の筋肉質の男の組み合わせでできている─など非常に緻密なもの。ふくしまさんの作風がみごとに活かされている。
いっぽう、国内では人気まんが家の誉れをほしいままにするふくしまさんだが、米国での知名度はまだまだ。マッスルを受け取った学会員からは
「フクシマ? フー?」
という困惑の声も聞かれる。これを足がかりにいっそうのメジャー化を狙うべく、早々に新作を出してほしいところだ。