東京都知事選に出馬していた石原慎太郎候補者は8日夜、「事実上当選確実」との報道を受けて都内の選挙事務所で緊急記者会見を開催。
「私はナニャドラヤ星人」
と、衝撃の事実を明らかにした。
会見の場に姿を現した石原氏は、いつもの差別意識丸出しの男とはまるで異なる表情で、神妙な面持ちだった。記者団が違和感を覚えてしんと静まり返ると、やがて氏は早九字を切りながらなにごとか呪文を唱えた。するとその身体は7色のオーラに包まれ、光の生命体へと変化した。
驚く記者たちを前に、まばゆい輝きを放つ石原氏はおごそかに語り始めた。
「地球のみなさん。
今まで隠していましたが、私は太陽系の別の惑星から来たナニャドラヤ星人なのです」
うろたえる記者たち。氏の説明によればナニャドラヤ星人とは、高度な霊的文明をもつ宇宙人で、数千年に渡ってかげひなたから人類を教導してきた人々。驚くべきことに、あのキリストもナニャドラヤ星人だったという。
「私はこれまで、地球人がわれわれと同じ進化の段階に到達したかどうかを試してきました。外国人迫害、女性差別、君が代強制、ガラパゴスクルーズなど汚い行為を蔓延させ、地球人に自浄能力があるか確かめていたのです。…しかし結果は残念なものに終わりました。私が再選されたのは、
“地球人が次のステージに行くのはまだ早過ぎる”
という証拠です…」
と語るナニャドラヤ星人は、どこか悲しげだった。
「さようなら、地球のみなさん。
私たちはみなさんに進化の準備ができたとき、また参ります。
さようなら…」
会場に天空からまばゆい光が射したかと思うと、一筋のかけ橋となった。その光の橋に乗って、悲しげに手を振る石原氏、黒サングラスの渡哲也、売れない画家らの一団が宇宙の果てに吸い込まれてゆく…。
あとには呆然と立ちすくむ記者らとともに、「わしも連れて行ってくだせ、わしも連れて行ってくだせ」と泣きじゃくる石原良純氏だけが取り残されていた…。