トレードマークの「ふんどし」廃止で業務効率にも影響が…? 運送業大手の佐川急便(本社:京都府)で今春行われたCI(コーポレートアイデンティティ)改革が、思わぬ波乱を呼んでいる。同社は「佐川と言えばふんどし、ふんどしと言えば佐川」というイメージの刷新をねらい、代名詞的存在だった「ふんどし飛脚」を廃止。しかし、これが現場で思わぬ不評をかっているというのだ。
「とにかく、なんかスースーするんですよね」
と語るのは、都内で佐川急便の飛脚をつとめる熊八さん(32)。熊八さんはこの十年、同社の飛脚として制服の「赤ふんどし」を締めて配送業務に携わってきた。しかし「平成の今どき、ふんどしはないだろう」という経営陣の指示により着用が御法度に。以来無着用で街を走っているが、どうしても股間がこころもとないという。
さらに深刻なのが「ポジションが不安定になる」という問題だ。文京区担当の八十吉さん(28)は
「どうしても右左に揺れてしまいますよ。擦れてしょうがありません」
とこぼす。これでは元気よく走っている最中に思わぬ興奮を呼びかねない。顧客の側にも不安が広がっており、この日八十吉さんから届け物を受け取った主婦・A子さん(32)は取材に対し「え…ノーパンなんですか…」と戸惑いを隠せないようすで、ごくりとのどを鳴らしていた。
佐川急便によれば、「弊社近代化の一環であり、多少の混乱を招くのはやむを得ない。お客さまにご迷惑をかけないように配慮しつつ、速やかにふんどしを廃止したい」と、今のところ方針を変更する予定はない。いっぽうでCI変更により大量に集まった「不要赤ふんどし」については、リサイクルに回す予定。今年冬までに繕い直し、全国の女子高生にマフラーとして寄贈することを検討中だ。