洋菓子大手・不二家の工場を舞台に、古きよき日本を思い出させるような美談が繰り広げられていたことが19日までにわかった。あまりの美しさに国民からは「涙で前が見えない」との苦情が相次いでいる。
話題になっているのは去年7月、神奈川県平塚市の不二家工場で起きたちいさなできごと。同工場で働くワーキングプアーの与ひょうさん(35)は、作業中、サブレ製品にちいさな虫が混入しているのを発見。踏み潰そうとしたのを
「いやいや。こんなちいさな虫にも、下流のおれと同じ命があるのだ」
と思い直し、そのままにしたという。
その晩。与ひょうさんのタコ部屋を「とんとん」とノックする音が。開けてみると見知らぬ女が立っている。
「わたしはあのときの虫です。助けて下さった御礼に、あなたの会社を有名にしてさしあげます」
と告げ、どこへともなく消えて行った…。半年経って、不二家は連日新聞紙面をにぎわせ、日本で知らぬ者のない有名企業になった。虫はたしかに約束を守ったのだ。
この逸話を知った国民は一様に心をゆさぶられ、同社には「本当なのか」「不二家で働く人々の心意気を知った」と電話が殺到している。文部科学省政務次官の山谷えり子氏も、
「まさに日本的精神を体現した話。教育基本法改正の効果がじわじわ出てきた感じだ」
と、欽定道徳教科書への収録を前向きに検討する意向だ。