家庭用ゲームを中心にさまざまなアミューズメント機器が一堂に会する祭典「東京ゲームショウ」が、今年も東京の幕張メッセで開催されている。例年にない傾向として親子の耳目を集めているのが
「ノンバーチャルリアリティ(VR)ゲーム」
と呼ばれる新ジャンルだ。
配管工ふうの服装に身を包んだコスプレ少年が、実物大のフィールドで次々と亀やカニを惨殺してまわる。あたりはホンモノの血にまみれている…。任天堂が新たに開発したノンVR版「マリオブラザーズ」のデモンストレーション風景だ。「バーチャルリアリティは悪」との政府指摘に配慮し、バーチャル性を一切排除してマリオの世界を再構築した。
「生き物の死をリアルに体感できるのがいい」
と、プレイした少年は舌なめずりする。
VRを否定する政府意向を先取りしたこれらのノンVRゲームは、発売日未定のものも含めおよそ30作が出展。なかでもひときわ試遊希望者の行列が長かったのが、コナミの
「ときめきメモリアル・ノンVRサイド」
だ。伝説のあのギャルゲーが、人間力に悪影響を及ぼさないノンVRで蘇る。イマドキの高校生ではありえない“プラトニック”な展開に踏み止まっていたVR版と異なり、“キャラクター”相手の本番もアリという現実志向。開発者は
「女性キャラクターをバーチャルですますことができないのが開発の難関だった」
という。旧日本軍の極秘ノウハウを転用することで、女性タレント調達コストをギリギリまで抑えた。
レトロゲームの「スペランカー」「頭脳戦艦ガル」などもノンVRでのリバイバルが決定している。クリエイターに新たな創作の可能性を拓く「バーチャルリアリティは悪」論。その真価が愚民どもに理解される日は、もうすぐそこまで来ているようだ。同ショウは24日(日)まで。