カミソリの進化が止まらない。サラリーマンにとって毎朝使う馴染み深い単純なアイテムだったものが、今や3枚刃・4枚刃は当たり前。市場では「5枚刃」や「電動式」といったハイテクを駆使した製品でなければ歯牙にもかけられない状況になりつつある。この動きに、ついにあの名門ブランドも追随。最新の5枚刃モデルを投入することを決めた。英国系カミソリメーカーのオッカム&ウィリアム社だ。
13世紀創立という伝統を誇る同社の「オッカムの剃刀」は
「シンプル・イズ・ベスト」
をモットーとして、単純な一枚刃式にこだわってきた。その切れ味のよさには定評があり、中二病~M2層のアカデミックな消費者を中心に根強いファンが多い。しかし、このところ
「シンプルなだけでは剃り残してしまう真実もあるのではないか」
というニーズが増え、売り上げに陰りが出ていることがアナリストから指摘され課題となっていた。
今回、低迷打破のために同社が投入した新製品
「オッカムの剃刀トルマリンパワー5」
は、一枚刃式を取りやめ最先端の5枚刃式へ変更。これにより、現象を説明するうえでより複雑な実体を仮定することが可能となった。たとえば「エジプトのピラミッドは誰が作ったのか」という問いに対し、従来製品では「古代エジプト人」というつまらない回答しかできなかったが、新製品では
「宇宙人ユミットが未来からタイムリープして古王国時代のエジプトに飛来し、エジプト人を電波洗脳して建造させた。ピラミッドの地下200メートルにはスターゲートが隠されており、人類が次のステージへと意識革命を起こしたときに自然と開かれる」
といった説明が可能になるという。
また、童貞男性が「なぜ彼女ができないのか」と悩んだ場合、今までは「モテないから」という身も蓋もない回答でカミソリ負けを起こす問題(そのままリストカットに進展した事例も報告されている)があったが、新製品ではこれも
「異世界を救う使命を帯びた勇者だから。その日が来れば貧乳の魔法使い(CV:釘宮理恵)の召還により旅立ち、ツンデレ彼女にモテ放題」
と希望を抱かせてくれるという。オッカム社では「従来ユーザーだけでなく、これまで弊社の製品でイヤな思いをしてきた消費者をも取り込める。爆発的ヒットは間違いない」と期待を寄せている。