政府・与党は18日、大分県の一部を特区として
「失業して住居を失った非正規雇用者向けの特別優遇型住宅ローン」
を実施する方針を固めた。大分県ではキヤノンらが数千人規模の派遣労働者を解雇し、社宅からの即時退去などを求めて社会問題となっている。今回の措置はその救済にあたるものだが、大きな経済効果成果を見込めることから全国に広げる予定もあるという。
18日までに決まったのは、
「下位価値証券型住宅ローン」
という制度。今回社宅を追い出された派遣社員らは、通常ならローンを組んでの持ち家購入など審査に通ることはまずない。新制度では、まず国が専業金融機関として「ジェイソンモス住宅公社」を立ち上げ、緩い審査条件で信用度の低い派遣とのあいだでローンを組む。ジェイソンモスは、そのローンを証券化して金融市場に販売することで利益を上げるしくみだ。
下位価値証券型住宅ローンなら、レオパレスのベニヤ板製派遣向け社宅に住んでいるようなワーキングプアも、気軽に家を持てるようになるという。もちろん住宅着工数を大幅に押し上げ、内需拡大につながる効果も期待できる。証券購入した投資家らも、公社がバックアップするという信頼感はもとよりローン支払いに延滞があった場合は担保である住宅を直接差し押さえられるという利点がある。
自民、公明両党では
「米国発の世界的不況に対抗するには内需の拡大が不可欠。下位価値証券型住宅ローンは日本経済のカンフル剤となり、景気復調のきっかけになってくれるのは間違いない」
としている。まずは月内にも大分県内で事業を開始し、来年度をめどに全国展開していく予定だ。