行財政立て直しに辣腕をふるい、常に話題を呼び続ける橋下大阪府知事。だが、断固とした改革には府民の人気はもちろん府職員の協力が不可欠だ。いったい、知事はどのように職員の心をつかんでいるのか…。今までは一切がなぞに包まれていたが、弊紙が取材したところ意外に部下思いな“橋下流”の一面を伺わせるエピソードが飛び込んできた。
橋下氏の意外な一面を明らかにしてくれたのは、大阪府に勤める公務員の五位太郎さん(45)。五位さんは風采の上がらない男で、同僚はもちろん子どもにまで軽んじられる下っ端だ。これまでの府知事とは話をする機会さえなかった。そんな彼のささやかな夢が
「芋粥を飽きるほど食べてみたい」
というもの。
これを敏感にも聞き付けたのが府知事。突然五位さんを誘い出し、門真市北巣本の別宅に泊めた。夜、橋下氏は近隣住民に聞こえるよう、表に向かってこう叫んだ。
「明朝、芋をたくさん収穫して持ってこい」
まだ収穫の時期には2週間ほど早いこともあり、五位氏はただの冗談だと思った。だが驚いたことに、翌朝起きてみると屋敷の前には大量の芋が転がっていた。芋はたくさんの粥に料理され、五位氏の前に並んだ。
あまりの贅沢におそれをなし固辞する五位氏に、橋下知事は笑いながら「たかが芋じゃ。たんと食え」とすすめる。食べてみると、幼児の涙のような味がしてややしょっぱかったという──。この芋粥の話、橋下知事の人心掌握手腕のみごとさとともに、ポピュリズムで頂点にのぼりつめた権力の強大さをうかがわせるエピソードとして、長く語り継がれることになりそうだ。